明海大学の山本卓教授にインタビューさせていただきました!

明海大学

今回は明海大学不動産学部不動産鑑定専攻で教授を務める山本卓先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。不動産会計と経営行動を研究されている山本先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いします。

現在研究されている分野・具体的なご活動内容について

インタビュアー
改めて、今回のインタビューをお受けいただき誠にありがとうございます。はじめに、現在取り組まれている研究テーマやご専門領域について教えてください。

山本卓先生
山本先生

私の研究テーマは、「不動産」と「企業経営・会計」をつなぐ分野です。不動産鑑定士としての実務経験を基盤に、企業が保有する不動産をどのように評価し、経営戦略に活用できるかを研究しています。

具体的には、企業不動産の戦略や公正価値評価、不動産会計制度が企業行動に与える影響、さらには環境経営との関連性についても分析しています。また、固定資産税の課税の基礎となる不動産評価についても、実務と制度の両面から研究を行っています。

インタビュアー
不動産評価や不動産会計に関する研究成果を、実務や政策に還元する際、特に意識されている点や難しさはありますか?
山本卓先生
山本先生

実務や政策に還元する際に特に意識しているのは、「理論的な妥当性」と「現場での納得感」をいかに両立させるかという点です。例えば固定資産税評価では、評価額をめぐるトラブルについて自治体から相談を受けることがあります。

その際には、不動産評価の基本原則に立脚しつつ、納税者が納得できる説明と解決策を提示することを心がけています。また、国外ではJICAの発展途上国向け固定資産評価制度構築支援プロジェクトにアドバイザーとして関与してきました。

発展途上国では不動産情報が十分に整備されていないことが多く、日本の制度をそのまま移植することはできません。その国の実情に即した、現実的で持続可能な制度設計を行うことが重要であり、そのプロセスにこそ、研究者としての挑戦とやりがいを感じています。

キャリア教育・人材育成について

講義風景

インタビュアー
専門職を目指す学生にとって「早い段階で身につけておくべき力」と「社会に出てから磨く力」は、それぞれどのようなものでしょうか?
山本卓先生
山本先生

学生時代に身につけておくべき力は、専門分野の基礎となる知識を体系的に学ぶ姿勢です。私自身は、大学入学時から不動産鑑定士試験を目標に据え、在学中に合格しました。

資格試験に向けた勉強を通じて、法律・経済・会計・経営といった基礎力を効率よく身につけることができたと感じています。ただし、資格に合格した時点は、専門職キャリアのスタートラインに立った段階にすぎず、そこからが本当の学びの始まりです。

不動産鑑定士には、不動産鑑定評価だけでなく、市街地再開発、固定資産税評価、企業不動産戦略支援など、幅広い役割が求められます。社会に出てからは、時代の変化を敏感に捉え、新たな分野にも対応できるよう学び続ける力が不可欠だと考えています。

インタビュアー
専門分野に進む学生の中で、納得感のある進路選択ができている学生には、どのようなスキルや自己理解が備わっていますか?
山本卓先生
山本先生

納得感のある進路選択ができている学生は、「自分は何を学び、どの専門性を伸ばしたいのか」を言葉で説明できています。現在の大学では、就職活動は実質的に3年生から始まりますが、大手企業を目指す場合には、1・2年生のうちから準備を進め、他大学の学生と肩を並べられるような実績を積んでおくことが望まれます。

例えば、宅地建物取引士の資格取得、インターンシップや短期海外研修への参加、良好な学業成績の維持などが挙げられます。一方で、企業の知名度よりも、不動産の専門性を高められる環境を重視する学生もいます。

その場合でも、資格取得やゼミでの専門的な学びに主体的に取り組む姿勢が、結果的に納得感のある進路選択につながっています。

職業選択・企業選びに関して

インタビュアー
専門分野で培った知識やスキルを異分野・異職種へのキャリア展開に応用する際に意識するポイントはありますか?
山本卓先生
山本先生

専門知識そのものよりも、「どのような視点で物事を捉え、分析できるか」が重要だと考えています。不動産学部で学ぶ学生の多くは不動産業界に進みますが、近年では一般事業会社においても、不動産は企業業績を左右する重要な経営資源と位置づけられています。

また、まちづくりや公的不動産管理、固定資産税業務など、公務員として活躍できる分野も広がっています。学生には、将来の選択肢を一つに限定せず、専門性を軸に多様な進路を考えてほしいと伝えています。

インタビュアー
データ分析や評価システムの高度化が進む中で、今後の不動産分野ではどのような人材がより求められていくとお考えですか?
山本卓先生
山本先生

今後は、「PropTech」など、不動産とテクノロジーの融合が進む分野で、不動産とITの両方に理解のある人材がますます求められるでしょう。また、不動産の課題は、法律・経済・社会情勢など複数の要因が複雑に絡み合って生じます。

そうした課題を整理し、解決策を導ける力は非常に重要です。さらに、専門的な内容を、企業や行政、地域住民など多様な関係者に分かりやすく説明できるコミュニケーション能力も、今後の不動産分野では不可欠になると考えています。

転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス

インタビュアー
研究者・実務家としてのキャリアの中で、大きな転機となった出来事や意思決定に悩まれたご経験はありますか?
山本卓先生
山本先生

1990年代後半に、会計ビッグバンや金融ビッグバンと呼ばれる制度改革が進み、社会全体が大きな転換期を迎えました。その変化を前に、学び直しの必要性を強く感じ、社会人大学院に進学したことが大きな転機となりました。

その後、52歳で大手不動産鑑定会社から明海大学へ転職しましたが、自分の専門性を最も生かせる場はどこかが明確だったため、迷いはなく、自信を持って決断できました。

インタビュアー
進路選択やキャリアの転機に悩む学生に向けてのメッセージがあればお聞かせください。
山本卓先生
山本先生

自己分析や業界研究はもちろん大切ですが、考え続けるだけで行動しないことは避けてほしいと思います。日本では、新卒での就職機会が非常に重要です。

まずはそのチャンスを最大限に活用してください。仮に最初の就職先が理想と完全に一致しなかったとしても、3年間働けば仕事の基本は身につきます。

その後、社会人大学院で学び直すなどして専門性を高め、より自分らしいキャリアを築くことも十分可能です。キャリアは一度で決まるものではありません。

むしろ、経験を重ねながら形作っていくものです。ぜひ前向きに、一歩ずつ進んでいってください。

インタビュアー
今回はとてもためになるお話を聞かせていただきありがとうございました。転職には不安や迷いはつきものですが、山本先生の意見も参考に失敗を恐れずに挑戦しようと思いました。

明海大学の基本情報

今回インタビューにご協力いただいた先生は、明海大学で教授を務められている山本卓先生です。

名称 明海大学
所在地 〒279-8550 千葉県浦安市明海1丁目
大学HP https://www.meikai.ac.jp/