今回は大学で教授を務める秋田時彦先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。電気自動車システム工学部を担当している秋田先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いしていきます。
目次
現在の研究されている分野・具体的なご活動内容について

インタビュアー
改めて、今回のインタビューをお受けいただき誠にありがとうございます。はじめに、現在のご研究内容や教育活動について、とくに力を入れていらっしゃる分野をお伺いできますでしょうか?

秋田先生
現在、大学にて自動運転の教育研究を行っています。とくに、走行環境認識技術の研究をしており、主にAI(人工知能)の応用研究に取り組んでいます。

インタビュアー
具体的にはどういった内容ですか?

秋田先生
近年のディープラーニングブームに対応し、製品を革新すべく企業と新たな手法の共同研究を行っています。

インタビュアー
大学での授業やゼミで教えられている内容はどのようなものがありますでしょうか?

秋田先生
大学の講義では、自動運転カートを使った実習やセンシングおよび環境認識技術について実践的な内容について教えています。

インタビュアー
これまでの研究活動で特に印象に残っている成果や発見にはどのようなものがありますでしょうか?

秋田先生
私自身の活動では、企業に在籍していたときに駐車支援用車載カメラを用いた「接近車警報システム」などを開発し、実際に乗用車に使われました。これはコストが限られる車載システムで、カメラ画像から効率よく接近車を検出する手法を新たに開発し、実用化に結びつけた点で社会に貢献できたと思っています。

インタビュアー
現在の研究を通じた社会貢献についてのお考えを聞かせていただけますか?

秋田先生
近年、自動運転で地域社会に貢献する活動を各種行っています。自動運転は社会課題を解決する手段として、実際に自動運転タクシーやシャトルバスが世の中に出始めています。また、運転支援システムとして、乗用車にも広く普及しており、交通事故の低減に貢献しています。

インタビュアー
最近特に注目されている研究テーマや業界トレンドはありますでしょうか?

秋田先生
自動運転の技術は大きな開発ブームです。近年はITや電機業界からの参入も増えており、AIを含む情報系の知識や経験の重要性が高まっています。
研究者としてのこれまでのご経歴・キャリアパス

インタビュアー
現在の研究職に就かれるまでの経緯や重要な転機にはどのようなものがありましたか?

秋田先生
大学卒業後、大手自動車部品メーカーで運転支援システムの新製品開発に従事し、企画から研究まで幅広い経験を積みました。米国カリフォルニア大学との共同研究で駐在を経験し、その後社会人博士課程で博士号を取得、大学研究者に転身して現在はAIを用いた自動運転研究と教育に取り組んでいます。

インタビュアー
今の仕事を志したきっかけや影響を受けた出来事・人物はありますでしょうか?

秋田先生
幼少期から電子工作に親しみ、大学も電子工学を選択するなど、一貫して興味を追求してきました。

インタビュアー
キャリアにおいて最も難しかった決断とその乗り越え方について教えてください。

秋田先生
企業では本当にやりたいことを任されるのは難しく、成果を出しつつ独自提案を続け、反対されても結果を出す努力を重ねました。環境や上司の裁量に左右される面もありますが、時に新天地への決断が必要であり、私は大学への転職でその選択をしました。

インタビュアー
学生時代から現在までのキャリアパスを振り返っての気づきがあれば教えてください。

秋田先生
信念を持ち、好きなことを突き詰める姿勢が私のキャリアを形作っていると感じています。
現在の自動車業界に関する質問

インタビュアー
現在の自動車業界の変化・進化をどのように捉えていらっしゃいますか?

秋田先生
現在の自動車業界は、情報技術の進歩と世界情勢の影響で大きな変革期を迎えています。ディープラーニングなどAI技術が安価に車載化できるようになったこと、中国やテスラなど新興勢力の電動化推進がその要因です。

インタビュアー
日本の車メーカーにはどのような影響がありますか?

秋田先生
日本メーカーにとって、この変化は危機とも言われますが、自動車は高度かつ複雑なシステムであり、豊富な経験を持つ日本勢は困難を克服できると考えます。トヨタが掲げる「現地現物主義」は、理論だけでは不十分な自動車開発において現場での実証を重視する思想で、日本車の品質を支える強みとなっています。

インタビュアー
自動車業界でキャリアを築いていくにはどのような選択肢がありますか?

秋田先生
自動車業界でのキャリアは大手メーカーに限らず、部品サプライヤー、装置メーカー、設計会社など多様です。近年はITや電機業界からの参入も増えており、AIを含む情報系の知識や経験の重要性が高まっています。
転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス

インタビュアー
転職を検討している方々へアドバイスをお願いします。

秋田先生
転職を考える際には、自分の強みを整理し、他人に分かりやすく説明できることが重要です。その強みは付け焼き刃ではなく、努力と経験の裏付けが必要であり、日々の業務を将来のキャリアに結びつけるには、主体的な行動が求められます。
継続することで自然に自分の道が見えてきます。強みが分からない人も、必死に続ける中で好きなことや得意分野が見えてくるものです。

インタビュアー
新しい環境に対する不安や迷いへの対処法にはどのようなものがありますでしょうか?

秋田先生
新しい環境には不安が伴いますが、努力が報われると想像できれば期待が不安を上回ります。また、準備を尽くすことで偶然の好機を引き寄せる「セレンディピティ」の考え方も有効です。

インタビュアー
これからの時代を生きる若い世代へのメッセージはありますでしょうか?

秋田先生
今は時代の変革期で、日本も厳しい局面を迎えていますが、自分を信じ努力を続ければ周囲に惑わされず乗り切れるでしょう。常に変化を楽しむ姿勢を持ち、楽しみながら努力を続けることで、充実した社会生活を送ることができます。

インタビュアー
今回はとてもためになるお話を聞かせていただきありがとうございました。転職には不安や迷いはつきものですが、「常に変化を楽しむ姿勢を持ち、楽しみながら努力を続けること」を忘れずキャリア選択をしていきたいと思いました。
電動モビリティシステム専門職大学の基本情報
今回インタビューにご協力いただいた先生は、電動モビリティシステム専門職大学で教授を務められている秋田時彦先生です。
名称 | 電動モビリティシステム専門職大学 |
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所在地 | 〒999-0602 山形県西置賜郡飯豊町大字萩生1725-2 |
大学HP | https://www.mobility-ac.com/ |