和光大学の坂井敬子先生にインタビューさせていただきました!

和光大学

今回は和光大学で准教授を務める坂井敬子先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。キャリア心理学、社会心理学を研究されている坂井先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いします。

現在の研究されている分野・具体的なご活動内容について

インタビュアー
改めて、今回のインタビューをお受けいただき誠にありがとうございます。はじめに、現在取り組まれている研究や、担当されている授業について教えてください。

坂井敬子先生_和光大学
坂井先生

若者のキャリア発達に関心を持ち、「経験の蓄積」と「見識の広がり」を重要視しています。「経験の蓄積」は自分が置かれた場で自分の担当する仕事に通じていくこと、「見識の広がり」は、経験を通して「仕事とは何か」「世の中はどのように回っているのか」について見方ができてくることと捉えています。

担当している授業には、キャリアに関するものの他に「社会・集団・家族心理学」もあります。

インタビュアー
社会心理学の視点から、初期のキャリア選択で意識しておくべきことはありますか。
坂井敬子先生_和光大学
坂井先生

正解を求める時代に、他者に流されそうになっても、同調圧力に押されないでほしいと思います。なぜ人が同調するのかというと、社会心理学では、① 間違えたくないために多数派の意見を参照する(情報的影響)、② 逸脱者とみなされないよう多数派になびく(規範的影響)の2つに整理されています。

業界や職業について、「○○は食っていける/いけない」という情報に右往左往させられることがあります。そうした情報を鵜呑みにし、自分では吟味しないでいると、自分の選択肢が狭まります。

伝統的な常識や価値観では語れない現象は、ブルーカラー・ビリオネアやギグ・ワークなどに象徴されるように、世の中でたびたび起こっています。

世の流れに同調したい気持ちは人の常ですが、結局は自分自身のキャリアですから、自分のやりたいこと・やれること・価値を感じられることを大事にしてほしいです。

キャリアの意思決定のプロセスについて

和光大学2

インタビュアー
キャリア選択において、難しいと感じた決断やその際に重視した考え方があれば教えてください。
坂井敬子先生_和光大学
坂井先生

私は社会人経験を経てから大学院に進学しましたが、決断が難しくかなり迷いました。将来保証のない中で進学を決めたのは、「企業世界に戻るにしても、勉強が足りてないわ!」ということでした。

勉強は、自分を変えてくれます。独学もいいのですが、私自身の日々の経験からいうと、自分だけでは半端で見当違いもあり、モチベーション維持も大変です。

他者から教わったり話し合ったり、自分とは異質の他者が絡むことがとても重要だなと思います。学生のみなさんはぜひ、日頃の活動を振り返り、学校の価値を実感してください。

インタビュアー
キャリア初期の離職について後ろめたさを感じる人も少なくありませんが、初期の離職はどのように捉えるのがいいでしょうか。
坂井敬子先生_和光大学
坂井先生

新卒3年以内の早期離職の背景には、ミスマッチがあるといわれています。第2新卒市場も有効ですが、その限界も考慮すると「初職をしっかり吟味しましょう。辞めるなら、3年以上経験を積んでから」と言いたいです。

「仕事にやりがいがない」「自分は能力不足」という思いは、リアリティ・ショックといわれる初期の幻滅感かもしれません。特に自責感では「自分だけが苦しんでいる」と思い孤独になりがちです。

上司が良かれと思って伝えたアドバイスも、「それだけ自分が至らない証しだ」と受け止めてしまうのです。失敗や挫折をいとわず、大事にしましょう。

先輩や上司だって、そういう経験をしてきているはずです。そういう経験談の聞ける環境であればなおさら心強いと思います。

それでも辞めると決めたなら、これまでに自分が何を経験したのか何を得たのか、しっかり棚卸をし、今後のアピール材料や自分自身の誇りにしてください。

転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス

インタビュアー
キャリア初期の若い人が仕事の適性や向き不向きを判断する基準があれば教えてください。
坂井敬子先生_和光大学
坂井先生

キャリア心理学では、人は小さい頃から思春期にかけて、大人の言動から「自分にふさわしくない職業」を感じ取ることがあると言われます。そうやっていつの間にか選択肢から外してきたかもしれない職業も、改めて吟味してみるといいかもしれません。

また逆に、身近な人の職業に影響されるということがあると思います。志望が定まるのはいいことですが、それに安心して、他の選択肢を調べなくなってしまうことがあります。

いずれにしてもぜひ、関連の仕事を調べてみてください。たとえば○○士に着目するとしたら、その役割の人が、他のどんな仕事をする人と、どうやって関わりながら仕事をするのかということです(多職種連携)。

業界単位なら、その業界は、他のどんな業界と、どうやって関わりながら活動しているのかということです(産業連関)。自分の適性や向き不向きを考えるには、現場を知ることが必要です。

できればオンラインだけでなく、身体ごと「臨場」できると良いですね。5日間以上のインターンシップにエントリーできなかったとしても、オープンカンパニー、ボランティア、アルバイトからでも分かることはあります。

「分からない」ことも、分かるための大事な一歩です。それが無駄でないことに気づけることこそが、経験を無駄にしないポイントになると思います。

先生の専門的視点からのアドバイス

インタビュアー
最後に、「やりたいことがわからない」「この選択でいいのか不安」な方に向けてキャリア形成のアドバイスをお願いします。
坂井敬子先生_和光大学
坂井先生

「やりたいことが分からない」には、大きく以下があると思います。

① 世の中にある仕事を知らない。
② 目移りして決められない。
③ 自分のこと(したいこと・できること・価値を感じられること)をあまり知らない。

いずれにしても、頭の中だけ、Webの中だけ、表層的なところだけで答えを探そうとしているのが原因ではないかと思います。これまで書いてきたように、豊かな学びを積む、現場を知る、身体ごと臨場するという先行投資がとても重要です。

オープンカンパニーや説明会のようなものに参加するのも、一つの臨場の形になると思います。自分のことを整理して、より深くあるいは広く、臨場の経験を増やすということがカギになるように思います。

インタビュアー
今回はとてもためになるお話を聞かせていただきありがとうございました。転職には不安や迷いはつきものですが、実際の経験を大切にして選択したいと思いました。

和光大学の基本情報

今回インタビューにご協力いただいた先生は、和光大学で准教授を務められている坂井敬子先生です。

名称 和光大学
所在地 〒195-8585 東京都町田市金井ヶ丘5丁目1番1号
大学HP https://www.wako.ac.jp/