今回は岡山理科大学の基盤教育センターで講師を務める野間川内 一樹先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。大学教育、キャリア教育、学生支援などを研究されている野間川内 一樹先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いします。
研究背景・専門領域について
会社員時代に採用や人事、管理職を経験する中で、組織における「個の自立」の重要性を痛感しました。現在はその経験を活かし、リーダーシップとフォロワーシップ教育を通して、個人が主体的に成長するための研究をしています。
特に、ありのままの自分を受け入れた上で、一歩踏み出すための「行動」をどう促すかという点に情熱を注いでいます。
ここ数年、特に力を入れているのは「意思決定支援」です。社会に出れば、常に自分で考え、行動を決める必要がありますが、多くの学生は“正解”を求めがちです。
しかし、キャリアの正解は一つではありません。自らの意思で一歩を踏み出し、失敗への対応も含めて経験から学び取れるよう、一人ひとりの「決断」を支えたいと考えています。
近年のキャリア教育では「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」が重視されていますが、その背景には明確な理由があります。取り組む対象は人それぞれ異なりますが、その経験の中で「いかに自ら意思決定し、行動したか」が見られています。
つまり社会は、画一的な正解ではなく、自らの個性を活かし、経験を通して自らを成長させることができる「自律した人材」を求めているのだと考えます。
キャリアの意思決定のプロセス(研究・実務)について

一言で言えば、「多くのことを敏感に“感じる”ことができる学生」です。よく「失敗を恐れず挑戦し、経験から学びなさい」と言われますが、ただ漫然と経験するだけでは、真の学びには繋がりません。
経験を自身の糧にするために不可欠なのが「振り返り」です。そして、その深い振り返りの入り口となるのが、まさに「感情」です。
良い進路選択ができる学生は、自分の心が動いた瞬間を見逃しません。「あの時、なぜワクワクしたのか」「なぜ悔しいと思ったのか」。事実だけでなく、その瞬間に自分が何を感じ、何を考えたのか。その心の動きを丁寧に紐解くことで、自分の譲れない価値観や軸が見えてきます。
自分の内なる声に耳を傾け、素直に感じ取ること。その積み重ねこそが、納得のいく進路選択への一番の近道だと私は考えています。
職業選択・企業選びについて
重要なのは、その情報が発信された「目的」や「背景」を考えることです。そのためには社会や経済の仕組みを知ることも必要ですが、同時に「多くの経験」をすることが欠かせません。
自らの行動の背景や目的を深く振り返ることで、外から得た「知識」と自分の「経験」がしっかりと結びつきます。そうして自分自身で噛み砕いた理解こそが、他人の意見に流されない、その人だけの確かな判断軸になるのだと思います。
一番のポイントは「自分を信じる力」です。これは、失敗を乗り越えてきた数に比例すると考えています。
未知の世界への挑戦には不安がつきものですが、過去に困難を乗り越えた経験は、その不安を前へ進む力に変える大きなエネルギーになります。私自身、会社員から大学院を経て教員へ転身した際、最後の最後で勇気をくれたのは、会社員時代に積み重ねた「失敗を乗り越えた経験」そのものでした。
先生の専門的視点からのアドバイス
最も重要なのは、「自らの状態に気づき、ありのままの自分を受け入れる力」です。私たちは幼い頃から、周囲と歩調を合わせることを正解として育ってきました。
しかし、外ばかりを見ていては、自分自身の本当の長所や弱点の中に隠れた可能性には気づけません。まずは自分を客観的に見つめ、良い部分もそうでない部分も認めてあげること。
その土台があって初めて、自分だけの価値を発揮するスタートラインに立てるのだと思います。
正解を誰かに求めないでください。本当の答えは、あなた自身の中にしかありません。
ただ、それはすぐには見えにくいものです。だからこそ、恐れずに動いてみてください。
挑戦し、時には失敗することで、次第にあなただけの正解の形が見えてきます。ふと思いついた小さなことでも構いません。大丈夫です。もし「違うな」と思ったら、また引き返せばいいですし、引き返せないのなら違う道を探せばいいのですから。
肩の力を抜いて、まずは心に従って一歩を踏み出してみてください。
岡山理科大学の基本情報
今回インタビューにご協力いただいた先生は、岡山理科大学の基盤教育センターで講師を務められている野間川内 一樹先生です。
| 名称 | 岡山理科大学 |
|---|---|
| 所在地 | 〒700-0005 岡山市北区理大町1-1 |
| 大学HP | https://www.ous.ac.jp/ |