吉備国際大学の福本章教授にインタビューさせていただきました!

吉備国際大学①

今回は吉備国際大学で教授を務める福本章先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。コンピテンシー、PBL、ボランティア、キャリアを研究されている福本先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いします。

現在の研究されている分野・具体的なご活動内容について

吉備国際大学②

インタビュアー
改めて、今回のインタビューをお受けいただき誠にありがとうございます。はじめに、現在のご研究内容や教育活動について、とくに力を入れていらっしゃる分野をお伺いできますでしょうか?

福本教授
福本先生

経営学と社会学を基盤として、地域創生とキャリア教育をつなぐ研究に力を入れています。特に、大学が地域社会にどのように貢献できるのかという視点から、地域の観光・産業・人材育成を組み合わせた地域連携モデルの構築を進めています。

さらに、

地域にある資源を学びの素材として取り入れることで、学生が現場で課題解決に取り組むための実践的教育を行っています。

インタビュアー
大学での授業やゼミではどのような内容をおしえていらっしゃいますか?
福本教授
福本先生

学部の授業やゼミでは、経営学や社会学の理論を学ぶだけでなく、それを「実際の地域課題や企業の現場にどう生かせるか」について、考えることを重視しています。大学院、とくに博士課程では、私と同じような立場の社会人もおられますので、主体的にテーマを選び、フィールドワークやインタビュー調査を通して、自立した見解がアウトプットできるような支援をしています。

インタビュアー
最近特に注目されている研究テーマや業界トレンドはありますでしょうか?
福本教授
福本先生

近年は「地方創生とキャリア教育の統合」が重要なテーマだと感じています。地域の企業や自治体と大学が連携し、学生が学びながら地域に貢献する仕組みをどう作るかは、これからの大学の使命の一つです。

さらに学びの視点を広げるために、身近なものからも学問的な学びがある事を伝えるべく、POPカルチャー、歌謡曲などからも社会構造を紐解く研究を試みています。

研究者としてのこれまでのご経歴・キャリアパス

吉備国際大学③

インタビュアー
現在の研究職に就かれるまでの経緯や重要な転機にはどのようなものがありましたか?
福本教授
福本先生

私は、もともと民間企業で営業・企画の仕事に長く携わっていました。現場で多くの人と関わる中で、「人が育つ現場とは何か」「組織を動かすリーダーシップとは何か」という問いを強く意識するようになったことが、現在の教育・研究に進むきっかけでした。

40代で修士課程、50代で博士号を取得しました。仕事をしながら経営学と社会学の両面から学び直し、特に「実社会の知を教育現場にどう還元できるか」というテーマを追究してきました。大学教員としては、地域の行政・企業・市民の方々と連携する中で、「教育」「研究」「地域貢献」が相互に支え合う環境を実感しています。

インタビュアー
研究・教育・社会連携のバランスを取るうえで意識していることがあれば教えてください。
福本教授
福本先生

私にとって研究・教育・社会連携は、三本柱というより一つの循環です。教育現場で生まれる学生の疑問や地域での課題意識が研究テーマとなり、研究成果がまた授業や地域活動に還元される、というサイクルを意識しています。

社会と接点を持つ研究者であるために、現場の声を反映することを大切にしています。データや理論だけでなく、「人」や「地域の文脈」を大切にすることが、研究、教育において重要だと思っています。

私は、大学が地域社会とともに歩む姿を体現することこそ、私の役割だと考えています。

キャリア形成と意思決定に関する知見

吉備国際大学④

インタビュアー
専門性の深さと領域の広さのバランスを、長期的な視点でどのように設計すべきでしょうか?
福本教授
福本先生

私は、専門性の「深さ」と領域の「広さ」は、どちらか一方を重視するものではなく、キャリアの段階に応じて変化させていくものだと考えています。若い頃には、まず専門分野を深く掘り下げることが求められます。

その時期に培われた基礎的な知識や経験こそが、後の応用力の土台になります。一方で、年齢や立場が変わるにつれて、専門を他分野とつなげる視野の広さが必要になります。

私自身も、実務家としての経験を基礎に経営学へ、さらに社会学へと研究の視野を広げてきました。それは単に専門を変えることではなく、「深さ」を保ちながら、関連する領域へと知識を拡張していくプロセスでした。

インタビュアー
失敗やうまくいかなかった経験を、次に生かすコツはありますか?
福本教授
福本先生

失敗を「検証の機会」として捉えることが大切です。成功よりもむしろ「上手くいかなかった点」を次の行動や計画にどう生かすかを考えることが重要です。

実社会で活躍している多くの人々は、過去の大きな失敗を転機として成長を遂げています。そうした事例からもわかるように、失敗を成功への通過点として受け止める思考が求められるということです。

失敗は避けるものではなく、むしろ次の成功を設計するための貴重な資源です。人は挑戦を続ける限り、失敗もまた成長の一部であると考えています。

転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス

吉備国際大学⑤

インタビュアー
これからキャリアを考えるうえで、まず大切にしてほしい“考え方”は何でしょうか?
福本教授
福本先生

私は、キャリアビジョンや目標は「変化していくもの」だと伝えたいと思います。ビジョンを描くこと自体は大切ですが、人生では予期せぬ出来事や出会いによって、進む方向が変わることもあります。

大切なのは、その変化を恐れずに、今の経験を次にどうつなげていくかを考える視点を持つことです。たとえ想定外の環境や仕事であっても、振り返ってみれば、それが自分の強みになっていることがあります。

キャリアとは、各時代の経験をつなぐ作業であり、今日の小さな経験が未来の大きな成果につながると信じて行動してほしいと思います。

インタビュアー
最後に、これからキャリアを築こうとする方へのメッセージをお願いします。
福本教授
福本先生

キャリアを築くとは、「自分を知り、他者と関わり、社会に貢献する」ことだと思います。最初は、自分の得意なことや好きなことを探すところから始まりますが、同時に「誰の役に立てるか」「どんな価値を届けたいか」を考えることが、仕事や人生のモチベーションを支えてくれます。

また、キャリアは他人と比べるものではなく、「自分を見つめ、育てていくもの」です。何事もくじけず、焦らず、変化を受け入れながら、自分のペースで自分らしい道を描いていくことを大切にしてほしいと思います。

インタビュアー
今回はとてもためになるお話を聞かせていただきありがとうございました。転職には不安や迷いはつきものですが、変化を恐れずに今の経験を次につなげるという視点でキャリア形成していきたいと思いました。

吉備国際大学の基本情報

今回インタビューにご協力いただいた先生は、吉備国際大学で教授を務められている福本章先生です。

名称 吉備国際大学
所在地 〒716-8508 岡山県高梁市伊賀町8
大学HP https://kiui.jp/