東京都立産業技術大学院大学の三好きよみ先生にインタビューさせていただきました!

東京都立産業技術大学院大学_外観

今回は東京都立産業技術大学院大学で教授を務める三好きよみ先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。キャリア心理学、高度IT人材育成、リスキリングなどを中心に研究されている三好先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについて伺います。

現在ご研究されている分野・具体的な活動内容について

インタビュアー
現在ご専門とされているキャリア心理学・人材開発について核となるご研究について教えてください。

三好きよみ先生_東京都立産業技術大学院大学
三好先生

私の研究の中心にあるのは、「人が働く中で、どのように成長し、自分らしいキャリアを築いていくのか」というテーマです。キャリア心理学や生涯発達の視点から、個人のキャリア形成だけでなく、職場での学びやチームの中での成長、リスキリング、対人関係のあり方などを研究しています。

特に関心を持っているのは、変化の大きい時代の中で、人が環境に振り回されるのではなく、自分なりの意味や方向性を持って働き続けるには何が必要か、という点です。現在は「AIIT 働くひとの未来研究所」も開設し、産業・組織の現場と学術研究を橋渡しする実践的な研究も推進しています。

インタビュアー
転職やキャリアチェンジが当たり前になりつつある今、「主体的なキャリア形成」とは具体的にどのようなことでしょうか。
三好きよみ先生_東京都立産業技術大学院大学
三好先生

「主体的なキャリア形成」とは、単に自分の好きな仕事に就くことや転職や独立を意味するものではありません。自分の価値観や強み、これから大切にしたいことを理解したうえで、今の環境の中でも自ら学び、選び、行動していくことです。

正解のある時代ではないからこそ、「誰かが決めた道」ではなく、「自分が納得して進む道」をつくっていく姿勢が大切だと考えています。

キャリアの意思決定・自分自身との向き合い方

東京都立産業技術大学院大学_図書館

インタビュアー
先生ご自身のキャリアにおける転機はどのような出来事でしたか。また、判断基準や軸はありましたか。
三好きよみ先生_東京都立産業技術大学院大学
三好先生

私自身のキャリアにおいても、いくつかの転機がありました。そのたびに感じたのは、「先が完全に見えてから決める」ことは難しいということです。

むしろ、自分が何に関心を持ち、どんな価値を大切にしたいのかを問いながら、その時点で納得できる選択を重ねてきました。

大きな転機の一つは、最初の社会人大学院への進学です。大学院では、知識やスキルだけでなく、多様な経験を持つ仲間や教員との対話を通して、自分の視野や考え方が大きく広がりました。その経験が次の学びにつながり、今の研究や教育の道につながっています。一つの選択が、次の可能性を開いてくれたのだと感じます。

インタビュアー
プロジェクトを動かす経験は若者のキャリアにどのような影響を与えますか。また、チームで働く力を育てる方法はありますか。
三好きよみ先生_東京都立産業技術大学院大学
三好先生

プロジェクトを動かす経験は、若い人のキャリア形成に大きな意味があります。異なる価値観を持つ人と協働し、ときに葛藤を乗り越える経験は、「仕事を進める力」だけでなく、「自分は何が得意か」「どんな場面で力を発揮できるか」を知る機会にもなります。チームで働く力は、対話し、試行錯誤し、振り返る経験の積み重ねの中で育っていくものだと考えています。

職業選択・キャリア形成について

インタビュアー
組織の中でキャリアを積む若者が、自分らしさを失わずに成長するためには、どのような姿勢が必要でしょうか。
三好きよみ先生_東京都立産業技術大学院大学
三好先生

組織の中でキャリアを積む若者にとって大切なのは、「組織に合わせること」と「自分らしさを持つこと」を対立させないことだと思います。

組織の中で成果を出すには、周囲との協働や役割への適応が必要ですが、その一方で、自分が何を大切にしたいのか、どんな力を伸ばしたいのかという軸を持つことが長期的な成長につながります。周囲に合わせすぎて自分を見失うのではなく、環境の中で自分らしい活かし方を探していく姿勢が重要です。

インタビュアー
AIやデジタル化が進む時代に、文系・理系を問わず若者が意識しておくべきことはありますか。
三好きよみ先生_東京都立産業技術大学院大学
三好先生

若いうちは目の前の仕事に精一杯になりがちですが、一つひとつの経験に対して「自分は何を学んだか」「次にどう活かせるか」と振り返ることが、自分らしいキャリアを育てる大切な機会になります。経験を積むだけでなく、その意味を自分なりに捉え直すことが成長につながるのです。

AIやデジタル化が進む時代には、知識そのものよりも、「学び続ける力」「問いを立てる力」「人と協働する力」がますます重要になります。技術は変化しても、自分で考え、他者と対話し、新しいことを学びながら価値を生み出す力は、文系・理系を問わず求められます。専門性に加えて、変化に適応し続ける柔軟さが、これからのキャリアの土台になるでしょう。

先生の専門的視点からのメッセージ

インタビュアー
最後に、これからキャリアを築いていく学生や若手社会人に向けてのメッセージをお願いします。
三好きよみ先生_東京都立産業技術大学院大学
三好先生

キャリアに「正解」はありません。大切なのは、正解を探すことよりも、自分自身の問いを持ち続けることです。

失敗や迷いは、キャリアの妨げではなく、自己理解を深める大切な機会です。就職や転職は大きな選択に見えますが、その時点で人生のすべてが決まるわけではありません。むしろ、経験しながら学び、自分の価値観や強みを少しずつ言語化していくことが、長いキャリアの中では大切です。

また、周囲と比べて焦ることもあるかもしれませんが、人それぞれ成長のペースも、キャリアの形も異なります。大切なのは、他人の正解に合わせることではなく、自分なりに納得できる歩み方を見つけていくことです。

私が研究を通じて出会ってきた多くの人々は、華やかな経歴よりも、困難な経験から何かを学び、それを次につなげてきた人ほど、長期的に充実したキャリアを歩んでいました。

どうかまず、自分が「面白い」「もっと知りたい」と感じるものを大切にしてください。その感覚こそが、主体的なキャリア形成の原動力になります。

皆さんのキャリアが、社会に貢献しながら、自分らしく輝くものになることを心から願っています。

インタビュアー
今回はとてもためになるお話を聞かせていただきありがとうございました。失敗も含め、経験から学びながらキャリア形成していきたいと思いました。

東京都立産業技術大学院大学の基本情報

今回インタビューにご協力いただいた先生は、東京都立産業技術大学院大学で教授を務められている三好きよみ先生です。

名称 東京都立産業技術大学院大学
所在地 〒140-0011 東京都品川区東大井一丁目10番40号
ホームページ https://aiit.ac.jp/