大阪大谷大学の安田傑教授にインタビューさせていただきました!

大阪大谷大学

大阪大谷大学の安田傑教授にインタビューさせていただきました!

今回は大阪大谷大学で教授を務める安田傑先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。教育心理学、キャリア心理学、高等教育学を研究されている安田先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いします。

これまでのご経歴とキャリアの歩みについて

インタビュアー
改めて、今回のインタビューをお受けいただき誠にありがとうございます。はじめに、ご経歴について、簡単にご紹介いただけますか?

安田先生

小学生の頃、父の本棚で心理学に関する本を見つけて読み、心を科学的に扱うことの面白さと不思議さにワクワクしました。その心理学を、自他の心の成長のために役立てたいと考えて、大学では教育心理学を専攻し、現在では大学教員として教育と研究に携わっています

インタビュアー
現在の専門分野に至るまでの経緯を教えてください。
安田先生

心というのは、目に見える形では存在しません。そのため、心に働きかけて成長を促すには、働きかけによる心の成長の程度を確認する事が重要と考え、大学院では心理テストの研究を行っていました。

研究を進める中で、心理テストの研究成果は、自分の心の性質を知り、将来を考える「自己分析」にも活用できるのではないかと考え、キャリア心理学にも関心を広げていきました。

インタビュアー
大学という場で研究される立場を選択された背景を教えてください。
安田先生

何よりも、心理学という学問そのものに強い興味関心を持ったことが原点です。この心理学の面白さを研究により深めると共に、同じように心理学に興味関心を持つ学生に広めたいという思いから、大学教員になりました。

研究者としてのこれまでのご経歴・キャリアパス

インタビュアー
現在取り組まれている研究テーマについて教えてください。
安田先生

現在は、「大学で心理学を学んだ人は、その後のキャリアにおいて心理学をどのように役立てられるか」について研究しています。カウンセラーのような専門職としての活用は分かりやすいのですが、専門職に就かない場合の心理学の役立て方となると、「ストレスに対処できる」や「対人関係で役立てられる」等の、特定の状況における曖昧なイメージを持つ人が多いと思います。

これらのイメージも決して間違いではありません。しかし、私たちは生きている間は常に、自身の心と共にあり続けます。

それならば、特定の状況に限らない「自分の生き方そのもの」を考える上でも心理学は役立てられるのではないかと考えています。

インタビュアー
教育心理学・キャリア心理学・高等教育学という複数分野を横断している理由を教えてください。
安田先生

多くの学生にとって、大学生活は「学ぶ側」から「社会で働く側」への移行の時期であり、心理的にもキャリア的にも大きな転換点となります。そのため、「大学でのどんな学びや経験が、学生の心の成長をもたらすか」(教育心理学)、「その経験や成長は、進路選択やキャリア形成にどうつながるのか」(キャリア心理学)、そして「そうした学びの場である大学は、個人や社会にとってどんな存在であるべきか」(高等教育学)という3つの分野を横断しています。

教育哲学やプロフェッショナリズムについて

インタビュアー
教育者として大切にしている価値観やスタンスを一言で表すと何でしょうか?
安田先生

「学ぶことや成長することを、楽しいと思ってもらえるような教育」を心がけています。私は心理学の専門家ですが、極端な言い方をすれば、心理学を学ばなくても多くの人は生きていくことができています。

その中で、あえて心理学を学ぶことを選んだ人には、その学びに楽しみを見出してほしいと思っています。

インタビュアー
学生に専門知識だけでなく「姿勢」や「考え方」を伝えるうえで意識していることはありますか?
安田先生

心理学は単なる理論に過ぎず、それを「どのように活用するかが重要である」ということを、繰り返し伝えるようにしています。例えば、心理学は他者を支援するためにも使えますが、自らの利益のために他者を都合よく扱う、そんな悪用を思いつく人もいるかもしれません。

同じ理論でも、それを学んだ人の価値観や使い方次第で、良い方向にも悪い方向にも影響を及ぼします。だからこそ、理論として学んで終わるのではなく、「心理学の理論を、どのように活用して生きていくか」を自分なりに考え、答えを見つけてもらう事を重視しています。

キャリア形成とアドバイスについて

インタビュアー
もし「進路に迷っている」「自分に向いているものがわからない」という相談を受けたとき、最初にどんな問いを返しますか?
安田先生

まずは「そのように迷い、相談したいと思うようになったきっかけは、何だったのでしょうか?」と尋ねると思います。進路について誰かに相談しようとすることは、それほど気軽に行える事ではないと考えています。

しかし、それでも私に相談するという形で一歩踏み出そうと行動したのであれば、その行動を応援すると共に、行動に至った心も理解したいと思います。この人は、何をきっかけに自分の進路を悩みだし、相談という形で行動しだしたのか、その背景にある考え方や価値観を整理する事が、その人らしい進路を一緒に考えていく上での糸口になると考えています。

インタビュアー
これから何かしらの専門職を目指す方や、今後キャリアを見直したい方に伝えたいメッセージがあれば教えてください。
安田先生

進路や将来を考えるとき、不安を感じることもあると思います。しかし、あなたが歩める人生は、一度きりですし、その全てを「理想的な体験」だけで満たそうとするのは無理があります。だからこそ、その一度きりの人生を、自分自身の生き方として納得できる範囲内で、良い事も悪い事も思いっきり堪能して生きてください
自分の人生を「自分のもの」として受け止めながら、様々な事に興味を持ち、自分の将来の可能性を広く考えて、「ありたい自分」で生きてほしいと思いますし、そんなあなたを応援しています。

インタビュアー
今回はとてもためになるお話を聞かせていただきありがとうございました。転職には不安や迷いはつきものですが、良いことも悪いことも受け止めながら挑戦したいと思いました。

大阪大谷大学の基本情報

今回インタビューにご協力いただいた先生は、大阪大谷大学で教授を務められている安田傑先生です。

名称 大阪大谷大学
所在地 〒584-8540 大阪府富田林市錦織北3丁目11番1号
大学HP https://www.osaka-ohtani.ac.jp/