東京都市大学の西山敏樹教授にインタビューさせていただきました!

東京都市大学1

今回は東京都市大学で教授を務める西山敏樹先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。都市生活学部で電気自動車のシステムや公共交通を研究されている西山先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いします。

現在の研究されている分野・具体的なご活動内容について

インタビュアー
改めて、今回のインタビューをお受けいただき誠にありがとうございます。はじめに、現在のご研究内容や教育活動について、とくに力を入れていらっしゃる分野をお伺いできますでしょうか?

西山教授
西山先生

高齢者および障がい者の増加、子育て支援、外国人の増加を総合的に鑑みて、誰もが過ごしやすい社会を創るユニバーサルデザインの研究を進めてきました

小さい頃から乗り物好きなこともあり、ユニバーサルデザインに基づいた公共交通の車両およびサービスについても研究してきました。さらに、SDGsを意識した環境低負荷、低エネルギーにユニバーサルデザインを実現させる、「融合的」で世界的にも革新的な分野の研究をしております。

インタビュアー
大学での授業やゼミで教えられている内容はどのようなものがありますでしょうか?
西山教授
西山先生

大学や大学院でも、ユニバーサルデザインとエコデザイン、更にはAI等の情報技術が融合した未来都市の公共交通の姿について教え、学生と研究を深めております

インタビュアー
これまでの研究活動で特に印象に残っている成果や発見にはどのようなものがありますでしょうか?
西山教授
西山先生

今までにない誰にでもやさしく環境低負荷な新しい鉄道の活用として、列車をスーパーにした買い物列車で、地方部の買い物難民を防ぐ研究をしました。ほかにも、路面電車を「走るコンサート会場」にして、街のあらゆる人々をつなげる実験研究もしました。

インタビュアー
現在の研究を通じた社会貢献についてのお考えを聞かせていただけますか?
西山教授
西山先生

公共交通機関を活かしたイベントで、街を盛り上げながら様々な人々の社会参画を促し、これらの研究で社会貢献をして参りました。まずは、物議を醸してでも、誰もがやったことのないオンリーワンの社会実験研究で、社会変革が可能かを試してきたことで、社会に問いを与えるという貢献が出来ていると思います。

インタビュアー
最近特に注目されている研究テーマや業界トレンドはありますでしょうか?
西山教授
西山先生

最近はSDGsを意識し、誰もが取り残されないこと=ユニバーサルデザインの哲学が活きると考え、そこに注目しながら研究活動を行なっております。

研究者としてのこれまでのご経歴・キャリアパス

東京都市大学2

インタビュアー
現在の研究職に就かれるまでの経緯や重要な転機にはどのようなものがありましたか?
西山教授
西山先生

私は中学生の頃からひとりで地方都市に出向き、ローカルな路線バスや鉄道路線に乗っては、その記録や問題解決への提言を投稿出来る雑誌に寄稿していました。

フィールドワーク自体が大好きで実践していたわけです。中学生や高校生がひとりで乗っているものですから、高齢者にはよく声をかけられました。でも、それが財産で重要な転機でした。

インタビュアー
なぜ重要な転機だったのでしょうか?
西山教授
西山先生

高齢者が、路線バスや鉄道が無くなったら本当に困ると各地で話すのです。これを聴き、それなら公共交通を盛り立てる研究者になろうと高校時代に思った次第です。

インタビュアー
現在のキャリアを築く上で役立ったスキルや経験はありますでしょうか?
西山教授
西山先生

雑誌の寄稿文を武器に、AO入試で慶應義塾大学に進学し9年間通いストレートで博士号を取得して、大学の教員になり今があります。キャリアは、自分が好きなことを思いっきりやり、社会貢献をしながら積み重ねるものなので、ひたすら自分だけを信じて突き進みました。調査スキルが元々養われていたことは、研究者になった時に役立ちました。

インタビュアー
学生時代から現在までのキャリアパスを振り返っての気づきがあれば教えてください。
西山教授
西山先生

キャリアパスを振り返ると、今の自分がやりたいこと、やるべきこと、やっていることが一致すると愉しくキャリアを積めて良いと思います。

現在の自動車業界に関する質問

インタビュアー
現在の自動車業界の変化・進化をどのように捉えていらっしゃいますか?
西山教授
西山先生

今の自動車業界はDX、すなわちデジタルトランスフォーメーションと切っても切れない状況になりました。しかも、政府や地方自治体は、エコデザインとユニバーサルデザインの推進も求めつつあります。

情報技術を活かしながら誰もが乗りやすい自動運転車両を創る、情報技術と相性のよい電気自動車を創るなどの新たな開発が台頭してくるはずです。従来の様にカッコ良いスポーツカーを開発して、社会に投入すれば生計を立てられる時代は終わりました。

インタビュアー
若手人材が「ものづくりの現場」からキャリアを始める意義についてどのようにお考えですか?
西山教授
西山先生

自動車業界の若手人材の方には、生活者と社会全体のニーズに合ったものづくりが求められるようになります。車づくりからキャリアを始めれば、否が応にもマーケティングや調査法、DX、ユニバーサルデザインやエコデザインにアンテナを張らなくてはいけなくなり、理系とか文系の垣根を外さないといけなくなります。

インタビュアー
自動車業界でキャリアを築いていくにはどのような選択肢がありますか?
西山教授
西山先生

理系・文系と分けるのではなく、マーケティングに詳しい社会科学系から自動車業界で理系も学ぶ、商品企画で活躍するような人材にもチャンスが出てきます。こういった流れにより、自動車業界は工学でのものづくり主体の雰囲気から大きく変わって行くように思います。

転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス

インタビュアー
転職を検討している方々へアドバイスをお願いします。
西山教授
西山先生

転職を検討している人には、とにかく自分の本質的に好きなこと、やりたいことは何なのか、自問自答を繰り返して欲しいと思います。

そして、自分の年齢や経験でやるべきこととやりたいことをつなぎ合わせて、やっていることが真に愉しくなるようにキャリアを考えるべきです。やりたいこと、やるべきこと、やっていることが三位一体になっていると愉しいし、実際自分がそれで20年以上身を立てて来ました。

インタビュアー
新しい環境に対する不安や迷いへの対処法にはどのようなものがありますでしょうか?
西山教授
西山先生

研究職は好きなことばかりして羨ましいとしばしば言われます。でも、自分は好きなことで社会貢献をしようと思い、努力を重ねてきました。

好きなことをやるにしても調査やものづくりで苦労はたくさんしました。しかし好きなことなら乗り切れるし、苦労に耐えられます。

インタビュアー
これからの時代を生きる若い世代へのメッセージはありますでしょうか?
西山教授
西山先生

自分の研究室の学生には、「好きなことで社会貢献するように」としか言いません。それで魅力的に各分野のクリエーティブなプロフェッショナルに成長しています。

若い方には失敗を恐れている人も多いです。好きなことを大切にして、時には失敗しながら学び成長するキャリア形成が望ましいと思います。私たちもそういう社会を創造していきたいと思います。

インタビュアー
今回はとてもためになるお話を聞かせていただきありがとうございました。転職には不安や迷いはつきものですが、失敗を恐れず好きなことを大切にしたいと思いました。

東京都市大学の基本情報

今回インタビューにご協力いただいた先生は、東京都市大学で教授を務められている西山敏樹先生です。

名称 東京都市大学
所在地 〒158-8557 東京都 世田谷区 玉堤 1-28-1
大学HP https://www.tcu.ac.jp/